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歯周病治療

歯周病はなぜ怖いのか

福島市で歯周病のご相談は当院へ

歯周病は歯の周囲で支えている歯周組織が、歯周病菌によって炎症を起こして侵されていく病気です。日本の成人が歯を失う原因の第一位が、この歯周病です。

歯磨きを怠ると、歯と歯ぐきの隙間には、歯垢や歯石ができやすくなります。歯周病菌とよばれる細菌は30種類以上あるといわれており、この細菌が原因となって歯肉や歯槽骨を徐々に破壊していきます。

歯周病菌の温床となるのが歯垢や歯石です。歯周病の原因となる細菌が付着すると、私たちの体ではその病原菌を撃退しようとする「免疫」というシステムが稼働します。この免疫システムが体を守るために起こすはたらきが「免疫反応」です。歯周病による炎症は、この免疫反応によって起こります。歯肉が炎症を起こすと、徐々に歯肉溝が深くなります。これを歯周ポケットといいます。

歯肉炎から歯周炎へ

歯についた細菌は酵素や毒素を作り出す性質があり、これらの物質によって歯肉が刺激されて起こるのが「歯肉炎」です。免疫反応がさらに活性化すると、歯肉の炎症が進行します。細菌の数が増え過ぎて撃退できなくなってくると、細菌は歯肉の細胞の中に入り込みます。この細菌の毒素によって細胞が死んでしまうと、さらなる毒素が放出されます。

細菌による毒素に対抗しようと、私たちの体は抗体やサイトカイン(異物を攻撃するための物質)を出すようになります。しかし、症状が進んだ歯周病では、このサイトカインが多くなり過ぎてしまうのです。

サイトカインが刺激となってしまい、さらに破骨細胞が過剰に活性化すると、ついには歯槽骨が破壊されてしまいます。このように、歯周病菌から歯周組織を守っていた免疫システムがはたらき過ぎてしまうことで、逆に歯周組織を破壊してしまうのです。

炎症やその影響によって歯肉からそのほかの歯周組織(歯のセメント質、歯根膜、歯槽骨)に広がった状態を「歯周炎」といいます。歯周炎は、初期→中期→末期と段階を経て進行し、重度となる末期歯周炎になると歯が抜け落ちてしまう可能性が極めて高くなります。

全身の病気と密接に関わる歯周病

歯周病が怖いのは単に歯が抜け落ちてしまうということだけではありません。お口の中の問題だけではなく、歯周病は様々な全身の病気と密接に関わっていることがわかっています。

糖尿病と歯周病の関係

全身疾患の中で、歯周病との関連性のある病気の代表格となるのが「糖尿病」です。

私たちが食事によって摂取した栄養分は、グルコース(ブドウ糖)と呼ばれる物質となって血液中を流れ、体のあらゆるところでエネルギー源として活用されます。糖尿病とは、このグルコースのコントロールを行うホルモン「インスリン」のはたらきが何らかの理由で悪くなる病気です。インスリンが正常にはたらかなくなると、血糖値(血液中のグルコースの濃度)が異常に高くなってしまいます。

血糖値が高くなると血管障害に

血糖値が高い状態が続くと、全身の血管とくに毛細血管(動脈と静脈の間にある最も細い血管)が詰まったり、流れが悪くなってしまう要因となります。この状態を血管障害といい、さまざまな臓器に悪影響を及ぼします。

糖尿病になると、臓器だけではなく、お口の中にも血流障害が起こります。血流が悪くなると、歯周組織が酸素・栄養不足に陥り、全身の免疫力が下がることで細菌に対抗する力が弱くなります。また、唾液の分泌も減少して洗浄力も低下します。

つまり、糖尿病を発症すると歯周病菌への防御が弱くなり、歯周病を発症しやすく、その進行も早くなります。

歯周病が糖尿病を悪化させる

歯周病の発症を助長する糖尿病ですが、逆に歯周病が糖尿病を悪化させることもあります。歯周病の免疫反応によって起こるサイトカインが活性化すると、本来は血糖値を下げる役割を担うインスリンのはたらきを阻害してしまうことがわかっています。

上記のように、歯周病と糖尿病は互いに危険因子の関係にあり、病状を悪化させ合うリスクを伴います。糖尿病と診断された方は一度歯医者さんで診断することをお勧めします。また、すでに歯周病を発症している方は、糖尿病のような合併症を引き起こさないように注意が必要です。

歯周病の予防

歯周病予防で大切なこと

歯周病を予防するためには、大きく以下のポイントに注意することが大切です。

  • 全身の病気のリスクを減らす
  • 生活習慣の見直しを図る
  • お口の中の環境を整える

それぞれを解説します。

全身の病気のリスクを減らす

持病を抱えている方は、しっかりと病気と向き合いながら治療を続け、症状を改善していくことが大切です。

また健康診断等で

  • 高血圧
  • 高血糖
  • 脂質異常症

などの指摘を受けた方は、糖尿病の発症やメタボリックシンドロームなどにも注意が必要です。

メタボリックシンドロームとは

内臓肥満に加えて、高血圧・高血糖・脂質代謝異常などの動脈硬化の危険因子が2つ以上重なり合った状態をメタボリズムシンドロームといいます。

メタボリックシンドロームは心筋梗塞などの心臓病のリスクが10〜30倍にもなるとされるとても怖い病態です。肥満で脂肪が増えると、脂肪組織から出る物質が歯周病の炎症を悪化させてしまうこともわかっています。

生活習慣の見直しを図る

生活習慣の改善も、歯周病を予防する上ではとても大切です。

  • 不規則な食事(暴飲暴食、栄養不足)
  • 喫煙
  • ストレス
  • 歯磨き習慣

など、不適切な習慣は歯周病の発症を誘発します。

改善できるものから一つ一つ取り組むことが、歯周病の予防や進行を抑えることに繋がります。

喫煙者は禁煙を

歯周病の予防、症状悪化を防ぐために、すぐにでも止めるべきなのが喫煙です。喫煙は呼吸器疾患をはじめとするさまざまな病気と関連があることは知られていますが、口の中の環境も悪化させる要因となります。

喫煙を続けるうちに歯肉の血流が悪くなり、免疫機能の低下によって細胞の抵抗力が弱まり、歯周病菌が増殖しやすくなります。血流が悪くなると歯肉からの出血が減ったり、歯肉が赤黒くなるなどの症状が出ます。これは歯周病が進行しているにも関わらず、発見されにくくなってしまうリスクを高めます。

お口の中の環境を整える

口の中の歯周病のリスクを減らすためには、口内環境を整えることが極めて重要です。まずは歯周病治療の基本ともいえる「プラークの除去」です。プラークが溜まった状態を放置すると、それがやがて歯石となり、歯周病菌が増殖しやすい環境を作ります。プラークの除去について、詳しくは「歯周病治療」をご覧ください。

不正咬合を引き起こす「歯ぎしり」

歯ぎしりがなぜ歯周病に関係するのか、不思議に感じる方も多いのではないでしょうか。

歯ぎしりは「プラキシズム」と呼ばれ、いくつかのタイプに分かれます。歯ぎしりが問題となるのは、強い力で喰いしばっていたり、頻度が高かったり、力を入れている時間が長い場合です。歯根膜や歯槽骨などの歯周組織に圧力がかかり過ぎてしまい、歯周病を進行させてしまいます。中でも就寝中の歯ぎしりは、自覚症状がない状態でとても強い力で喰いしばっていることが多く、歯を砕いてしまうケースも少なくありません。

歯周病の症状

歯ぐきの腫れや痛みのお悩み

歯周病は歯を支える組織に影響を与える進行型の感染症です。定期的な歯科検診は、歯周病の早期発見と予防に非常に重要です。

下記で紹介する症状が見られる場合は、なるべく早めに歯医者さんへ通院することが大切です。早期発見と適切な治療により、歯周病の進行を遅らせることができます。

放置してしまうと歯が抜け落ちる原因にもなりますので、初期症状を見逃さないように注意しましょう。

歯周病の症状チェック

歯肉の腫れや赤み

健康的な歯肉は本来、ピンク色をしていますが、炎症を起こしていると腫れや赤みの症状が出ます。

歯ぐきからの出血

歯を磨いたり、歯間ブラシを使用したりする際に歯肉から出血しやすくなります。

口臭

歯周病は口内での細菌の増加を招き、それが口臭の原因になり得ます。

歯肉の後退

歯肉が後退する(さがる)と、歯の根が露出し、歯が長く見えたりします。

歯の動揺

進行した歯周病では、歯を支える骨が失われ、歯が動きやすくなります。

噛む際の不快感

歯や歯肉の状態が悪化すると、噛むことが不快に感じられることがあります。

歯並びの変化

歯を支える組織が弱まると、歯が移動しやすくなり、噛み合わせに影響を与えることがあります。

歯周病の検査診断

福島市で歯周病の検査診断は当院へ

歯周病の検査には、歯周病の進行度を評価するためのいくつかの方法があります。

問診と検査の結果を総合的に判断することで、歯周病の有無とその進行度を評価し、適切な治療計画を立てることができます。

歯肉ポケットの測定

専用の器具を用いて、歯と歯肉の間に形成される「ポケット」の深さを測定します。歯周病が進行すると、このポケットが深くなります。正常な深さは1〜3mmですが、それ以上に深い場合は歯周病の兆候とされます。

歯肉の検査

歯肉の色、腫れ、出血の有無、硬さなどを視覚的に評価します。

レントゲン検査

歯と歯を支える骨の状態をチェックします。歯周病では、骨の吸収が見られることがあり、レントゲンはこれを確認するのに有効です。

歯の動揺検査

進行した歯周病は歯を支える骨の減少を引き起こし、結果として歯が動くようになります。歯科医師は、特定の器具を使用するか、手で歯を軽く動かして、その安定性を評価します。

歯石の検査

歯石(プラークが硬化したもの)の存在と量を評価します。歯石は歯周病のリスクを高めるため除去する必要があります。

医歴と生活習慣の評価

喫煙や糖尿病など、歯周病のリスクを高める可能性のある因子についても評価します。

歯周病の治療

歯周病の基本治療

歯周病の基本治療は、非外科的な方法で行われます。病気の進行を止め、可能な限り健康な口内環境を回復することを目的としています。

プロフェッショナルクリーニング

歯科医師や歯科衛生士による専門的なクリーニングで、プラークと歯石を除去します。この処置には、スケーリングとルートプレーニングが含まれます。

スケーリング

歯と歯肉の境界周辺、および歯肉ポケット内のプラークと歯石を取り除きます。

ルートプレーニング

歯の根面を滑らかにすることで、歯肉が再び健康に密着できるようにします。これにより、細菌の再付着を防ぎ、歯肉の炎症を減少させます。

生活習慣の改善

喫煙や不適切な歯磨き習慣など、歯周病のリスクを高める生活習慣の改善を図ります。

口腔衛生指導

適切な歯磨き技術やデンタルフロス、歯間ブラシの使用方法を学びます。良好な口腔衛生習慣は、歯周病の予防と治療に不可欠です。

定期的なフォローアップ

治療後の回復状況をモニターし、必要に応じて追加治療を行います。これには、数ヶ月ごとの定期検診が含まれます。

これらの基本治療により、多くの場合で歯周病の進行を止めることができます。

しかし、症状が重度の場合は、これらの治療に加えて外科的な手術が必要になることがあります。外科的治療は、深い歯肉ポケットの削減や再生手術など、さらに進んだ治療を目的としています。

外科治療(手術)・歯周組織再生療法

歯周病の外科治療は、

  1. プラーク・歯石の除去
  2. 歯の周辺組織の再生
  3. 歯の周辺組織の形成

大きく3つの目的に分類されます。

歯周ポケット掻爬術とフラップ手術

非外科的治療(スケーリングやルートプレーニング)だけでは改善が難しい場合に適用されます。いずれも歯周病の進行を阻止し、歯肉の健康を回復させることを目的とします。

重度の歯周病の治療としてともに効果的な外科処置ですが、治療前には詳細な診断と、患者さんの健康状態や治療に対する理解について、十分な話し合いが必要です。また、長期的に良い状態を維持するためには、手術後の適切なアフターケアと定期的なメンテナンスが必要不可欠です。

歯周ポケット掻爬術

歯周病によって形成された歯肉ポケット内の細菌感染組織や炎症を起こしている組織を取り除く手術です。掻爬(そうは)とは「体の表面や体腔の内容物を掻き出す」という意味があります。専用の器具を使って、プラークを掻き出します。基本的には歯周ポケットが5mm以下の場合に適応されます。

感染の原因となる細菌や歯石、壊死組織を除去することで健康な歯肉組織の再生を促します。

フラップ手術

フラップ手術は特に深い歯肉ポケット(5mm以上)が存在する場合に適応されます。歯肉に麻酔をしてメスを使って切開し、歯石や炎症によって悪くなった歯周組織を取り除きます。歯石や歯周組織の状態を肉眼でチェックしながら処置をすることができるのがこの術式のメリットです。最後に歯肉を縫合して手術は終了です。

手術後は痛み止めや化膿止めの薬を服用し、抜糸までは1週間程度かかります。

歯の歯周骨を再生する歯周組織再生療法

歯周組織再生療法は、歯周病によって失われた歯を支える組織(歯肉、歯槽骨、セメント質、歯周靭帯)の再生を促進するための治療方法です。この治療の目的は、進行した歯周病によって破壊された構造を可能な限り元の状態に戻すことにあります。

これらの治療法は、一般的には外科的な手技を伴い、適切な症例選択と正確な手技が成功の鍵となります。

歯周組織再生療法は、単独で行われることもあれば、従来の歯周病治療(スケーリングやルートプレーニングなど)に加えて行われることもあります。治療の適用性は、患者の具体的な状況や歯周病の進行度によって異なりますので、詳細な診断と計画が必要です。

以下に、歯周組織再生療法の主な方法を紹介します。

組織誘導再生法/GTR法

GTR(Guided Tissue Regeneration)法とも呼ばれる治療法です。特殊な膜を使用して骨を再生するための空間を確保します。この膜は、不要な組織が再生領域に侵入するのを防ぎ、新しい骨や歯周靭帯が成長するのを助けます。

エムドゲイン法

エムドゲイン・ゲル(一般名:エナメルマトリックスデリバティブ)というゲル状の医療材料を使って歯周組織の再生を促します。

成長因子の利用

プレートレットリッチプラズマ(PRP)など、成長因子を含む物質を使用して歯周組織の治癒と再生を促進します。これらの成長因子は、骨や組織の再生を加速することができます。